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札幌地方裁判所 昭和59年(わ)72号 判決 1984年6月21日

本店の所在地

札幌市東区北三一条東一九丁目一番地四

(商業登記簿上の本店の所在地)

札幌市東区北三六条東一〇丁目四九一番地

株式会社東栄美器

代表者の住居

札幌市東区北三六条東一〇丁目四九一番地一六〇

代表者の氏名

漆原稔

本籍

北海道帯広市東一条南一五丁目九番地

住居

札幌市東区北三六条東一〇丁目四九一番地一六〇

会社役員

漆原稔

昭和一〇年五月一日生

右株式会社東栄美器及び漆原稔に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官桑原栄出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社東栄美器を罰金二〇〇〇万円に、被告人漆原稔を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人漆原稔に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罰となるべき事実)

被告人株式会社東栄美器(以下「被告人会社」という。)は、札幌市東区北三一条東一九丁目一番地四(商業登記簿上の本店は札幌市東区北三六条東一〇丁目四九一番地)に本店を置き、陶磁器の訪問販売を目的とする資本金一〇〇万円の株式会社であり、被告人漆原稔は、被告人会社の代表取締役として被告人会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人漆原稔は、被告人会社の業務に関し、被告人会社の法人税を免れようと企て、売上金の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法によりその所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五五年四月一日から昭和五六年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が八四三〇万五四五九円であり、これに対する法人税額が三二八三万七六〇〇円であるにもかかわらず、昭和五六年五月二九日、札幌市東区北一六条東四丁目一二番地一一の札幌北税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の右事業年度の所得金額が五二九万八二八〇円の欠損であり、これに対して納付すべき法人税がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額三二八三万七六〇〇円を免れ

第二  昭和五六年四月一日から昭和五七年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億五〇一四万七〇九七円であり、これに対する法人税額が六一七七万四五〇〇円であるにもかかわらず、昭和五七年五月三一日、前記札幌北税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の右事業年度の所得金額が三三九八万五九七九円であり、これに対する法人税額が一三〇〇万円一〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額四八七七万三五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人会社代表者兼被告人漆原稔の当公判廷における供述

一  被告人漆原稔の検察官に対する供述調書

一  被告人漆原稔の大蔵事務官に対する質問てん末書一一通

一  小倉慧、稲垣美和子及び絹田市蔵の検察官に対する各供述調書

一  山本勝之こと崔俊分、中谷馨、漆原繁、川越俊六、平田信子(二通)、小倉慧(三通)、稲垣美和子(六通)及び鈴木ナヲ子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  札幌法務局登記官作成の登記簿謄本

一  検察官作成の電話聴取書

一  大蔵事務官作成の調査事績報告書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、商品仕入高調査書、給料手当調査書、雑給調査書、福利厚生費調査書、旅費交通費調査書、地代家賃調査書、広告宣伝費調査書、公租公課調査書、会議費調査書、支払手数料調査書、雑費調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、支払利息割引料調査書、価変準備金繰入損調査書、事業税認定損調査書、当期欠損金調査書、繰越欠損金控除額調査書、銀行預金調査書、郵便振替調査書、積立金調査書、売掛金調査書、未収入金調査書、貸付金調査書、仮払源泉所得税調査書、土地調査書、建物調査書、有価証券調査書、出資金調査書、買掛金調査書、借入金調査書、未払金調査書、未払源泉所得税調査書、未納事業税調査書及び価格変動準備金調査書

一  検察官作成の捜査報告書

一  押収してある法人税決議書一綴(昭和五九年押第八七号の1)判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の一枚綴りの脱税額計算書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の二枚綴りの脱税額計算書

(法令の適用)

被告人漆原稔の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、同被告人を懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。被告人漆原稔の判示各所為は、同被告人が被告人会社の代表者として被告人会社の業務に関して犯したものであるから、法人税法一六四条一項により被告人会社に対し同法一五九条一項の罰金刑を科し、なお免れた法人税の額が五〇〇万円をこえるから、情状により同法一五九条二項を適用することとし、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各所定の罰金額を合算した金額の範囲内で、被告人会社を罰金二〇〇〇万円に処する。

(求刑被告人株式会社東栄美器につき罰金二〇〇〇万円、同漆原稔につき懲役八月)

よって主文のとおり判決する。

昭和五九年七月二〇日

(裁判官 高梨雅夫)

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